早稲田大学日本史過去問(社学02)・江戸時代の新田開発と農業


V 次の史料を読み、問1〜10に答えなさい。イ〜ホの選択肢のあるものはマーク解答用紙にマークし、記述を要するものは記述解答用紙に記入しなさい。
 
 夫れ田地を作るの糞し、山より原に重る所は、(A)秣を専ら苅用て田地を作るなれば、郷村第一秣場の次第を以て其地の善悪を弁べし。近年段々(B)新田新発に成尽して、草一本をば毛を抜くごとく大切にしても、年中田地へ入るゝ程の秣たくはへ兼る村々之有り、古しへより秣の馬屋ごへにて耕作を済したるが、段々金を出して色々の糞しを買事世上に専ら多し。仍て国々所々に秣場の公事絶えず、又海を請たる郷村は、人を抱へ舟を造りて色々の海草を、又は種々の貝類を取てこやしとす。其外里中の村々は山をもはなれ海へも遠く、一草を苅求むべきはなく、皆以て田耕地の中なれば、(C)始終金を出して糞しを買ふ。古へは(D)干鰯一俵の直段金一両に五十俵、六十俵もしたるを、今は七、八俵にも売らず、……是(E)享保子年まで五、六年の間の相場なり。
 
問1 この史料は、近世中期の肥料に関するものだが、その出典はどれか。
 イ 宮崎安貞の『農業全書』    ロ 中台芳昌の『老農夜話』    ハ 大蔵永常の『広益国産考』
 ニ 田中丘隅の『民間省要』    ホ 佐藤信淵の『農政本論』
 
問2 この文章を記した著作の特徴として、もっともふさわしいものはどれか。
 イ 自らの見聞と体験に基づいて農業技術を論じたもので、農業の必読書とされた。
 ロ 東北の寒冷降雪地帯の農業経営を体系的に論じた。
 ハ 年間の稲作を和歌と農事図を使って解説した。
 ニ 60種に及ぶ特産物とその加工技術を詳細に述べた。
 ホ 77項目にわたって租税・治水・駅制などを論じた。
 
問3 下線(A)に関し、村内外の山野から採って地中に埋めて腐敗させた肥料を当時何と呼んだか、漢字で書きなさい。
 
問4 下線(B)の「新田新発」に関する記述の中で、適当でないものはどれか。
 イ 新田を計画し開発した幕府の代官には、幕府から報償が与えられた。
 ロ 開発後、新田は原則として3〜5年は免税の対象とされた。
 ハ 幕府が以前に諸国山川掟という法令を出したのは、新田開発を促進するためであった。
 ニ 紫雲寺潟新田や鴻池新田のように、町人も開発を請け負った。
 ホ 新田開発は、本田畑の耕作を妨げないことを条件とした。
 
問5 下線(C)は金肥を指すが、これに該当しないものはどれか。
 イ 鰊粕  ロ 〆粕  ハ 鯨油  ニ 油粕  ホ 糠
 
問6 下線(D)「干鰯」に関し、当時、九十九里浜が主要な鰯漁地であった。そこでの漁法を漢字で書きなさい。
 
問7 この当時、様々な農具が改良され普及をみたが、それに該当しないものはどれか。
 イ 千歯扱  ロ 唐箕  ハ 備中鍬  ニ 扱箸  ホ 踏車
 
問8 この史料にある新しい肥料や、農村における農具・農業知識の普及は、生産力を高め、商品作物の生産を促進し、特産物を生んだ。もっとも知られた各地の名産品として適当でないものはどれか。
 イ 出羽村山の紅花  ロ 会津の漆  ハ 越前の奉書紙  ニ 近江の藍  ホ 備後の藺草
 
問9 当時の新田開発や肥料事情がもたらした影響の記述で、適当でないものはどれか。
イ 新田開発を促進するため、幕府は統一基準で開発地の検地を実施し、新田検地条目を出した。
ロ 金肥の需要増大は、その増産と普及をもたらし、農村の一層の貨幣経済化をもたらした。
ハ 幕府による新田開発奨励によって、山に近い野原では入会地が拡大し、そこから秣肥料を確保できる農村が増えた。
ニ 一部の有力な村役人らが、自らは地主手作をおこなう一方で、手持ち資金を困窮百姓に利貸して、質地にとった田地を集めて地主に成長した。
ホ 幕府の流地禁止令の発令を契機に、質地の無償取り戻しを目指す大規模な農民騒動が、越後頸城郡や出羽国村山長瀞で起こった。
 
問10 下線(E)の頃、幕府はさまざまな改革を実施したが、それに該当しないものはどれか。
 イ 旧里帰農令を出して、江戸に流入した没落農民の帰村や帰農を奨励した。
 ロ 足高の制により、有能な人材を登用した。
 ハ 大名に上米を命じた。
 ニ 検見法を改めて、定免法を採用した。
 ホ 相対済し令を出して、金銭貸借の訴訟をとりあげず、当事者間で解決させた。
 
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