律令国家の形成

改新の詔

出典:『日本書紀』
 (a大化)二年春正月甲子の朔、賀正礼畢りて、即ち改新之詔を宣ひて曰く、
 其の一に曰く、昔在の天皇等の立てたまへる子代の民、処処の屯倉、及び別には臣・連・伴造・国造・村首の所有る部曲の民、処処の田荘を罷めよ。仍て食封を大夫より以上に賜うこと、各差有らん。……
 其の二に曰く、初めて京師を修め、畿内・国司・郡司・関塞・斥候・防人・駅馬・伝馬を置き、鈴契を造り、山河を定めよ。
 其の三に曰く、初めて戸籍・計帳・班田収授の法を造れ。……
 其の四に曰く、旧の賦役を罷め、田の調を行へ。……別に戸別の調を収れ。
注釈: a:646年。  
 

律令下の里と戸

出典:『令義解』戸令
 凡そ戸は、五十戸を以て里と為よ。里毎に長を一人置け。戸口を検校し、……賦役を催駈することを掌る。
 凡そ計帳を造らむことは、年毎に六月の卅日の以前に、京国の官司、所部の手実責へ。具に家口・年紀を注せよ。……
 凡そ戸籍は、六年に一たび造れ。十一月上旬より起りて、式に依て勘ヘ造れ。里別に巻と為せ。惣べて三通写せ。二通は太政官に申し送れ。一通は国に留めよ。
 凡そ戸籍は、恒にa五比留めよ。其れ遠き年のは、次に依て除け。近江の大津の宮の庚午の年の籍は除くことせず。
注釈: a: 一比は6年にあたる。つまり「戸籍は30年保管せよ」という意味。 
 

律令下の田制

出典:『令義解』田令
 凡そ田は、長さ卅歩・広さ十二歩を段と為よ。十段を町と為よ。段の租稲二束二把。町の租稲廿二束。
 凡そ口分田を給はむことは、男に二段。女は三分が一滅せよ。五年以下には給はず。其地、寛狭有らば、郷土の法に従へよ。a易田は倍して給へ。給ひ訖りなば、具に町段及び四至録せよ。
 凡そ諸国の公田は、皆国司郷土の估価に随ひてb賃租せよ。其の価は太政官に送り、以て雑用に充てよ。
 凡そ田は、六年に一たび班へ。神田、寺田は此の限に在らず。若し身死にたるを以て田退すベくは、班年に至らむ毎に、即ち収り授ふに従へよ。
注釈: a:農業に適さない「やせた土地」のこと。 b:土地を貸し付けて、地子(賃料)を得ること。ちなみに地子は収穫の2割であった。
 

律令下の税制

出典:『令義解』賦役令
 凡そ調の絹・絁・糸・綿・布は、並びに郷土の所出に随へよ。正丁一人に、絹・絁八尺五寸、……次丁二人、中男四人は、各一正丁に同じ。……
 凡そ調は皆近きに随ひ合せ成せ。……具に国・郡・里、a戸主の姓名、年月日を注し、各国印を以て印せ。
 凡そ正丁の歳役は十日。若し庸収る須くは、布二丈六尺。……中男、及び京・畿内は、庸収る例には在らず。……
 凡そ令条の外の雑徭は、人毎に均しく使へ。総べて六十日に過ぐることを得じ。
注釈: a:その戸の直接の統括者。  
 

律令下の軍制

出典:『令義解』軍防令
 凡そ兵士簡び点さむ次は、皆比近をして団割せしめよ。点して軍に入るべくは、同戸の内に、三丁毎に一丁を取れ。
 凡そ兵士の上番せむは、京に向はむは一年、防に向はむは三年、行程を計へず。
 凡そ兵士の京に向ふをば、衛士と名づく。辺守るをば、a防人と名づく。
注釈: a:この任に就いたのは、東国の農民に限られた。